この記事のポイント
- 手数料がなければ、合計額が同じでも早い時期に多く入れるほど減る利息は大きい
- 1年ごとに20万円×10回の期間短縮型は利息643,398円減(2,500万円・30年・1.2%の例)
- 1回33,000円の手数料がかかると、20万円×10回の差し引き効果は313,398円まで小さくなる
- 最低金額や手数料は契約や申込み方法で違うため、自分の契約で確認する
少額でもこまめに繰り上げれば効果はある:手数料しだいで大きく変わる
少額の繰上返済でも、元金が減ればその分の利息は減ります。計算例として、2,500万円を30年・年1.2%(仮定)で返済中のローンで、1年ごとに20万円ずつ10回、合計200万円を期間短縮型で繰り上げると、減る利息は643,398円、返済期間は31か月短くなります。
ただし、1回ごとに手数料がかかると結果は大きく変わります。1回5,500円なら手数料の合計は55,000円で、差し引きの効果は588,398円。1回33,000円なら手数料は330,000円になり、差し引きは313,398円まで小さくなります。少額の繰上返済を何度もするかどうかは、「回数×手数料」と「早く入れることで増える利息の削減」を比べて決めることになります。手数料の金額はすべて計算のための仮定で、実際の額は契約で確認してください。
入れ方別の比較表:合計200万円を4通りで繰り上げる
同じ合計200万円を、時期と回数を変えて期間短縮型で繰り上げた結果です(元利均等・毎月返済・金利一定)。
| 入れ方 | 減る利息 | 短くなる期間 | 手数料1回5,500円の場合の差し引き | 手数料1回33,000円の場合の差し引き |
|---|---|---|---|---|
| 1年後に200万円を1回 | 785,938円 | 33か月 | 780,438円 | 752,938円 |
| 1年ごとに20万円×10回 | 643,398円 | 31か月 | 588,398円 | 313,398円 |
| 5年ごとに100万円×2回 | 581,344円 | 31か月 | 570,344円 | 515,344円 |
| 10年後に200万円を1回 | 505,123円 | 30か月 | 499,623円 | 472,123円 |
手数料がない場合、合計額が同じなら、早い時期に多く入れるほど減る利息は大きくなります。「1年ごとに20万円」は「10年後にまとめて200万円」より効果が大きく、少額でも早めに入れることには意味があります。一方、1回の手数料が高いと、回数の多い入れ方ほど差し引きの効果が削られていきます。
比較表の「1年後に200万円を1回」と同じ条件です(手数料0円)。複数回に分ける入れ方はこのグラフでは表せません。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 方法 | 利息の合計 | 毎月の返済額 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 繰上返済なし | 4,781,505円 | 82,728円 | 30年 |
| 期間短縮型 | 3,995,567円 | 82,728円 | 27年3か月 |
| 返済額軽減型 | 4,412,382円 | 75,920円 | 30年 |
1回あたりで見ると:20万円の繰上返済の効果
同じローンで、1年後に20万円を1回だけ期間短縮型で繰り上げた場合の減る利息は82,847円、短くなる期間は3か月です。仮に手数料が33,000円なら、効果の約4割が手数料で消える計算です。手数料が5,500円なら約7%にとどまります。
同じ20万円を返済額軽減型で入れた場合、毎月の返済額の減少は681円です。月々の変化としてはわずかに感じられますが、残りの期間ずっと続く減少です。少額の繰上返済は、1回の効果が小さいぶん手数料の影響を受けやすいことを覚えておきましょう。
なお、期間短縮型の「短くなる期間」は返済回数(月単位)で数えるため、少額の場合は短くなる月数がほとんど変わらないこともあります。それでも、減る利息は元金を減らした分だけ確実に生じています。
手数料0円の場合です。手数料がかかる場合は、減る利息からその額を差し引いて考えます。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 方法 | 利息の合計 | 毎月の返済額 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 繰上返済なし | 4,781,505円 | 82,728円 | 30年 |
| 期間短縮型 | 4,698,658円 | 82,728円 | 29年9か月 |
| 返済額軽減型 | 4,744,604円 | 82,047円 | 30年 |
最低金額の制限と手数料を確認する
全国銀行協会は、金融機関によっては繰上返済の金額に10万円以上や100万円以上などの制限がある場合や、手数料が1回あたり無料から数万円まで違う場合があると案内しています。同協会のFP回答でも、1回の最低返済額は1円から100万円まで、手数料は無料から数万円までと、金融機関やローンの種類によって様々だと説明されています。
たとえば住宅金融支援機構の【フラット35】借換融資のご利用条件では、繰上返済手数料は不要とされ、一部繰上返済の金額はインターネットサービス「住・My Note」で申し込む場合は10万円以上、取扱金融機関の窓口で申し込む場合は100万円以上と示されています。同じローンでも申込み方法によって最低額が違う例です。
自分の契約では、最低金額、手数料、インターネットと窓口の違い、期間短縮型と返済額軽減型の両方が選べるかを確認しておくと、少額で何度も繰り上げる計画が実際にできるかどうかがわかります。
返済額軽減型でこまめに繰り上げる場合
少額の繰上返済は返済額軽減型でも使えます。上の例で、1年ごとに20万円ずつ10回を返済額軽減型で繰り上げると、毎月の返済額は82,728円から10回目の後には74,776円まで下がり、減る利息は309,517円でした。期間短縮型の643,398円と比べると利息の軽減は半分以下ですが、毎月の負担が少しずつ軽くなっていきます。
教育費の増加などで毎月の家計に余裕を持たせたい時期には、返済額軽減型が選択肢になります。どちらの型を選ぶかで少額繰上返済の意味合いも変わるため、目的(総額を減らしたいのか、毎月を軽くしたいのか)を先に決めておくと迷いにくくなります。型の違いは返済額軽減型の計算と期間短縮型の計算で詳しく扱っています。
こまめに繰り上げる計画を立てるときの注意
毎年決まった額を繰り上げる計画は、貯蓄の習慣と組み合わせやすい反面、手元資金が増えにくくなる面もあります。繰り上げたお金は後から引き出せないため、毎年の繰上返済の前に、生活費の備えが十分に残っているかを確かめる習慣をつけておくと安心です。
また、変動金利の場合は金利が見直されるたびに利息の負担が変わり、繰上返済の効果も変わります。この記事の計算は金利が30年間一定の前提です。金利が上がった時期に繰り上げれば効果は計算より大きく、下がった時期なら小さくなります。
手続きの手間も考えておきたい点です。インターネットで手軽に申し込める契約なら少額でも続けやすく、窓口でしか受け付けない契約なら回数を減らすほうが現実的かもしれません。手数料だけでなく、申込み方法や締切日も含めて計画を立てましょう。
計算の方法と前提
本サイトの繰上返済シミュレーションは、一度だけの繰上返済を計算するツールです。この記事の複数回の比較は、ツールと同じ計算方法(毎月の利息はその時点の残高×年利÷12で1円未満切捨て、期間短縮型は毎月の返済額を維持、返済額軽減型は残り回数で返済額を計算し直す)を繰り返して求めました。1回だけの場合の結果がツールと一致することを確認しています。
実際の契約では、繰上返済の実行日、期間短縮型の月単位の計算、金利の見直しなどで結果が変わります。また、住宅ローン控除を受けている期間は年末残高が減るぶん控除額も減ることがあるため、繰上返済と住宅ローン控除もあわせて確認してください。
自分の手数料で「こまめ」と「まとめて」を比べる
まず繰上返済シミュレーションに、残高・残りの返済回数・金利と、1回分の繰上返済額(たとえば20万円)と契約上の手数料を入力し、1回あたりの減る総支払額を確認します。次に、まとめて入れる予定の金額と時期で同じ計算をしてください。1回あたりの効果に対して手数料がどのくらいの割合になるかが見えると、何回に分けるのが自分に合うかを判断しやすくなります。実行時期の違いについては繰上返済はいつがいいかも参考になります。
参照した情報
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。