この記事のポイント
- 残高2,200万円・残り25年・1.3%なら、100万円の返済額軽減型で月3,906円下がる
- この条件では毎月の減少額は繰上額にほぼ比例し、100万円あたり約3,900円
- 同じ繰上額なら減る利息は期間短縮型のほうが大きく、この例では約2倍
- 残り期間が短いときほど、同じ100万円でも月々の減少は大きく、減る利息は小さい
100万円で月3,906円減:繰上額に比例して下がる
返済額軽減型の繰上返済は、残りの返済期間を変えずに毎月の返済額を下げる方法です。計算例として、残高2,200万円・残り25年・年1.3%(仮定)で毎月85,934円を返済しているローンに100万円を返済額軽減型で繰り上げると、毎月の返済額は82,028円になり、月3,906円下がります。200万円なら月7,812円、300万円なら月11,718円、500万円なら月19,530円の減少です。
この条件では、毎月の減少額は繰上額にほぼ比例し、100万円あたり約3,900円です。言い換えると、繰り上げた100万円が、残りの25年間にわたって毎月約3,900円ずつ、利息の節約分を上乗せして戻ってくるイメージです。この「100万円あたりの減少額」は、金利と残り期間によって変わります。
たとえば残高2,000万円・残り25年で100万円を繰り上げた場合、月々の減少は年0.5%なら3,546円、年1.5%なら4,000円、年3.0%なら4,742円でした。金利が高いほど少し大きくなりますが、それ以上に効くのは残りの期間で、残り10年なら同じ100万円で月8,979円下がります(年1.5%の場合)。
繰上額別の早見表:期間短縮型との比較つき
| 繰上額 | 繰上後の毎月返済額 | 月々の減少 | 返済額軽減型:減る利息 | (参考)期間短縮型:減る利息 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 82,028円 | 3,906円 | 171,822円 | 372,602円(15か月短縮) |
| 200万円 | 78,122円 | 7,812円 | 343,663円 | 721,832円(31か月短縮) |
| 300万円 | 74,216円 | 11,718円 | 515,481円 | 1,048,533円(47か月短縮) |
| 500万円 | 66,404円 | 19,530円 | 859,141円 | 1,637,199円(77か月短縮) |
同じ繰上額なら、減る利息は期間短縮型のほうが大きく、この例では約2倍です。全国銀行協会も、利息の軽減効果は期間短縮型のほうが大きいと説明しています。返済額軽減型は、利息の節約より「毎月の負担を今から下げる」ことに重きを置いた方法と考えるとわかりやすいでしょう。
返済額軽減型で今すぐ繰り上げた場合、残高を繰上額だけ減らして残り25年で計算し直した額と同じです。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 条件 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
| 繰上返済なし | 85,934円 | 25,779,927円 | 3,779,927円 |
| 100万円繰上 | 82,028円 | 24,608,105円 | 3,608,105円 |
| 200万円繰上 | 78,122円 | 23,436,264円 | 3,436,264円 |
| 300万円繰上 | 74,216円 | 22,264,446円 | 3,264,446円 |
| 500万円繰上 | 66,404円 | 19,920,786円 | 2,920,786円 |
月◯円下げるには、いくら繰り上げればよいか
家計の事情から「毎月の返済を1万円下げたい」というように目標の減少額が決まっている場合は、逆算すると必要な繰上額がわかります。上の条件で1万円単位で計算すると、次のとおりでした。
- 月5,000円下げる:128万円
- 月10,000円下げる:257万円
- 月20,000円下げる:513万円
全国銀行協会のFP回答にも、10年前に2,500万円を35年・2.5%で借りたローンで、毎月の返済額を1万円減らすには220万円ほど、1万5,000円減らすには約330万円の繰上返済が必要という例があります。条件が違えば必要額も変わるため、目標の減少額が決まったら、自分の残高・金利・残り期間で計算することが大切です。
時期によって月々の減り方が変わる
返済額軽減型では、同じ100万円でも、残り期間が短いときほど毎月の減少額は大きくなります。上のローンで、10年後(残高14,046,372円・残り15年)に100万円を繰り上げると、毎月の返済額は6,118円下がります。今すぐの3,906円より大きな減少です。
その一方で、減る利息は101,204円で、今すぐの171,822円より小さくなります。100万円を少ない回数で割り戻すため月々の減少は大きいものの、利息を減らせる期間が短いからです。教育費のピークなど、毎月の負担を下げたい時期がはっきりしているなら、その時期に合わせて実行するという考え方もできます。時期による違いは繰上返済はいつがいいかでも比較しています。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 方法 | 利息の合計 | 毎月の返済額 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 繰上返済なし | 3,779,927円 | 85,934円 | 25年 |
| 期間短縮型 | 3,573,312円 | 85,934円 | 23年10か月 |
| 返済額軽減型 | 3,678,723円 | 79,816円 | 25年 |
どんなときに返済額軽減型が選ばれるか
全国銀行協会は、毎月の返済にあまり余裕がない場合や、近い将来に教育費の負担増などが予想される場合に、返済額軽減型も検討するよう案内しています。同協会のFP回答でも、毎月の支払いを軽減したいなら返済額軽減型、支払利息を減らしたい・完済を早めたいなら期間短縮型、と目的に応じた使い分けが説明されています。
また、住宅ローンの負担を軽くする方法の一つとして、手続きの手間が少なく手数料も借り換えより低い点が挙げられる一方、ある程度の効果を得るにはまとまった金額が必要だとも指摘されています。毎月の負担を下げる方法には、借り換えや家計の見直しもあるため、必要な資金と効果を並べて比べるとよいでしょう。借り換えとの比較は金利引下げの相談と借り換えで扱っています。
返済額軽減型で注意したいこと
- 完済の時期は変わらない:残りの期間はそのままなので、完済時の年齢は変わりません。退職後も返済が続く場合は、期間短縮型との組み合わせも考えます。
- 変動金利の返済額の見直しとの関係:変動金利で返済額の見直しルールがある契約では、繰上返済後の返済額がいつから、どのように変わるかを金融機関に確認します。
- 手数料と最低金額:繰上返済の金額に10万円以上・100万円以上などの制限がある場合や、手数料が1回あたり無料から数万円まで違う場合があります。
- 住宅ローン控除:控除期間中は年末残高が減るぶん、控除額が減ることがあります(繰上返済と住宅ローン控除)。
計算の前提
この記事の数字は、本サイトの繰上返済シミュレーションと同じ方法で、元利均等・毎月返済・金利一定、繰り上げた後に残りの回数で返済額を計算し直す前提で求めています(毎月の返済額は1円未満切上げ)。実際の返済額は、繰上返済の実行日、返済日との関係、金融機関の端数処理などによって少し異なることがあります。正確な金額は、繰上返済の申込み前に金融機関の試算で確認してください。期間短縮型との基本的な違いは期間短縮と返済額軽減の比較で説明しています。
自分のローンで月々の減少額を確かめる
繰上返済シミュレーションに、返済予定表の残高・残りの返済回数・適用金利と、繰上額・手数料を入力してください。「月々の額を減らす」の欄に、繰上後の毎月の返済額と減る利息が表示されます。目標の減少額がある場合は、繰上額を少しずつ変えて、必要な金額を探してみてください。同じ画面で期間短縮型の結果も確認できます。
参照した情報
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。