返済が苦しいとき

住宅ローンの返済期間を延長すると?月々の減少と総額の増加

返済期間を20年から23年・25年・30年に延ばした場合に、毎月の返済額がいくら減り、総返済額がいくら増えるかを計算。延長できるかの確認先や、返済が苦しいときの相談窓口も整理します。

この記事のポイント

  • 返済期間を延ばすと月々は下がるが、利息を払う期間が長くなり総返済額は増える
  • 残高2,000万円・残り20年・1.5%を25年に延ばすと、月16,522円減・総額833,936円増
  • 延長すると残高の減り方も遅くなり、10年後の残高の差は200万円を超える
  • 同じ月々の減少でも、返済額軽減型の繰上返済なら総額はむしろ減る

期間を延ばすと月々は下がり、総額は増える

返済期間を延ばすと、毎月の返済額は下がりますが、利息を払う期間が長くなるため総返済額は増えます。計算例として、残高2,000万円・残り20年・年1.5%(仮定)のローンの毎月の返済額は96,510円です。金利を変えずに残りの期間を25年に延ばすと毎月79,988円になり、月16,522円下がる一方、総返済額は833,936円増えます。30年に延ばすと月27,485円下がり、総額は1,686,337円増えます。

全国銀行協会も、返済期間は長くするほど毎回の返済額が少なくなる一方、利息負担が重くなり総返済額が増える点に注意するよう説明しています。期間の延長は「月々の負担を軽くする代わりに、総額と返済の続く年数が増える」という交換です。

延長後の期間別の比較表

残高2,000万円・残り20年・年1.5%の期間を延ばした場合
延長後の残り期間毎月の返済額月々の差これからの利息総返済額の増加
20年(延長なし)96,510円-3,162,005円-
23年85,726円−10,784円3,660,178円+498,173円
25年79,988円−16,522円3,995,941円+833,936円
30年69,025円−27,485円4,848,342円+1,686,337円

延長の幅が大きいほど月々の減少は大きくなりますが、1年延ばすごとの減り方はだんだん緩やかになり、利息は増え続けます。3年延ばすと月1万円余り下がり、10年延ばしても月2万7千円余りです。家計に必要な減少額がいくらかを先に決め、それに見合う最小限の延長幅を探すという考え方もできます。

残高2,000万円・1.5%の残り期間別の総返済額
  1. 20年(延長なし)2,316万円
  2. 23年2,366万円
  3. 25年2,400万円
  4. 30年2,485万円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
残高2,000万円・1.5%の残り期間別の総返済額
条件毎月の返済額総返済額利息の合計
20年(延長なし)96,510円23,162,005円3,162,005円
23年85,726円23,660,178円3,660,178円
25年79,988円23,995,941円3,995,941円
30年69,025円24,848,342円4,848,342円

残高の減り方も遅くなる

期間を延ばすと、毎月の返済のうち元金に充てられる額が減るため、残高の減り方も遅くなります。上の例で、5年後の残高は延長なしで15,547,258円、25年に延ばした場合は16,576,033円です。10年後には10,747,948円と12,885,567円になり、差は200万円を超えます。

残高が多く残ると、将来、住宅を売却したり借り換えたりするときの選択肢にも影響します。また、完済の時期が遅くなるため、完済時の年齢や、退職後も返済が続くかどうかを確認しておく必要があります。完済年齢の考え方は完済年齢から返済期間を決めるで扱っています。

残高2,000万円・1.5%:20年と25年の残高の推移
残高2,000万円・1.5%:20年と25年の残高の推移横軸は経過年数、縦軸は年末のローン残高。20年(延長なし)、25年に延長。0500万1,000万1,500万2,000万0年5年10年15年20年25年
  • 20年(延長なし)
  • 25年に延長

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
残高2,000万円・1.5%:20年と25年の残高の推移
経過20年(延長なし)25年に延長
0年後20,000,000円20,000,000円
5年後15,547,258円16,576,033円
10年後10,747,948円12,885,567円
15年後5,575,089円8,907,856円
20年後0円4,620,548円
25年後完済0円

期間の延長はできるのか:確認先と制約

返済期間を延ばせるかどうかは、契約や金融機関によって異なります。全国銀行協会のFP回答では、借り換えで返済期間も延長できればさらに支払額を下げられるが、一部の金融機関を除いて延長はできないと説明されています。

住宅金融支援機構は、【フラット35】の返済で困っている人向けに返済方法の変更手続を案内しています。また、【フラット35】借換融資では、借入期間の上限が「80歳−申込時の年齢」「40年−住宅取得時のローンの経過期間」「35年」のうち最も短い年数とされるなど(長期優良住宅などは一部50年)、延ばせる期間には上限があります。延長を考えるときは、どの方法で、どこまで延ばせるのかを借入先に確認することが出発点です。

延長の代わりに繰上返済で月々を下げるには

月々の負担を下げる方法は、期間の延長だけではありません。手元にまとまった資金があるなら、返済額軽減型の繰上返済でも毎月の返済額を下げられます。上の例(残高2,000万円・残り20年・年1.5%)で、3年延長と同じ月10,784円の減少を繰上返済で実現するには約224万円、5年延長と同じ月16,522円の減少には約343万円が必要でした(1万円単位で計算)。

繰上返済なら総額はむしろ減り、343万円の場合は減る利息が542,293円です。延長では総額が833,936円増えるので、同じ月々の減少でも総額の方向は正反対になります。ただし、全国銀行協会のFP回答も指摘するように、繰上返済で返済額を減らすにはまとまった資金が必要で、手元資金を大きく減らすことには別のリスクがあります。資金の有無と家計の状況に応じて、延長・繰上返済・家計の見直しを並べて考えましょう。繰上返済の計算は返済額軽減型の計算で詳しく扱っています。

金利も下がる場合:二つの効果を分けて見る

借り換えで金利が下がり、同時に期間も延びる場合は、月々の差に二つの効果が混ざります。上の例で、年1.0%・25年に借り換え、諸費用60万円とすると、毎月の返済額は21,135円下がりますが、諸費用を含めた総額は50,143円増えました。

金利が0.5%下がっても、期間を5年延ばした分の利息増加と諸費用で、総額の減少は打ち消されています。月々の負担を下げる必要があるなら一つの選択肢ですが、「借り換えで総額が減った」とは言えない条件です。金利の効果だけを見たいときは、まず期間を変えずに比べてください。比べ方は借り換え比較の手順で解説しています。

返済が苦しいときは早めに相談する

期間の延長を考える理由が、収入の減少や支出の増加で返済が苦しくなったことなら、早めに返済中の金融機関に相談することが大切です。全国銀行協会は、経済的な事情などで住宅ローンなどの返済が困難になっている人向けに、全国銀行協会相談室で無料のカウンセリングサービスを行っています。電話または面談で、専門のカウンセラーや銀行業務に習熟した相談室職員が相談に応じ、希望や必要に応じて銀行の窓口や法テラス(日本司法支援センター)などを紹介するとしています。

全国銀行協会のFP回答では、負担を軽くする方法として、借り換えや返済額軽減型の繰上返済とあわせて、家計の見直しも挙げられています。期間の延長だけに頼らず、複数の方法を並べて考えると選択肢が広がります。詳しくは返済が苦しいときの相談先へ。

延長後の月々と総額をツールで確かめる

借り換えシミュレーションで、「借り換え後の金利」に今と同じ金利、「借り換え後の期間」に延長後の残り期間、諸費用に手続きで払う費用(なければ0円)を入れると、期間を延ばした場合の月々の差と総額の差が表示されます。複数の延長幅を試して、家計に必要な減少額と総額の増え方を見比べてください。月々の返済額と元金の関係は返済予算シミュレーションでも確認できます。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。