税と控除

住宅ローン控除の年末調整:2年目以降の手続きの流れ

会社員は2年目以降の住宅ローン控除を年末調整で受けられます。勤務先に出す2つの書類、毎年の控除額と所得税額の関係、年末調整では済まない場合を4500万円の例で解説します。

この記事のポイント

  • 2年目以後は年末調整で控除を受けられ、勤務先には控除申告書と年末残高等証明書の2つを出します。
  • 2年目以降は、床面積や住宅の区分を示す書類を毎年出し直す必要は原則ありません。
  • 4500万円・金利0.8%のZEH水準の例では、9年目まで控除額が24.5万円で、10年目から減っていきます。
  • 年末調整で控除されるのはその年の所得税額までで、給与所得者でない人は2年目以後も確定申告です。

2年目からは勤務先の年末調整で控除を受けられる

給与所得者は、住宅ローン控除の最初の年分だけ確定申告をすれば、2年目以後の年分は年末調整で控除を受けられます。国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)によると、勤務先に提出するのは次の2つです。

  • 税務署から送付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」
  • 金融機関等が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(2か所以上から借りている場合はすべて)

計算例として、2026年4月に4500万円を借りてZEH水準省エネ住宅に入居し、35年・金利0.8%で返済する場合(月々122,878円)、2年目(2027年)の年末残高は43,130,619円です。0.7%は301,900円ですが、控除限度額24.5万円が上限になるため、2年目の控除額は245,000円です。

初年度と2年目以降で、手続きはここが変わる

同じ住宅ローン控除でも、最初の年と2年目以降では提出先と書類が大きく変わります。国税庁の説明をもとに、給与所得者の場合を並べました。

給与所得者が住宅ローン控除を受ける場合の手続きの違い(国税庁 No.1211-1 をもとに整理)
項目初年度2年目以降
手続き確定申告年末調整(確定申告でも可)
提出先納税地の所轄税務署勤務先
主な書類計算明細書、年末残高等証明書、登記事項証明書、契約書の写し、区分の証明書など年末調整用の控除申告書、年末残高等証明書
住宅の要件の証明この年にまとめて提出原則として改めて出さない

2年目以降は、床面積や住宅の区分を示す書類を毎年出し直す必要はなく、その年の年末残高を示す証明書と申告書が中心になります。そのぶん、初年度の申告内容(住宅の区分や取得対価)が以後の控除の前提になるため、初年度の書類は控えを含めて保管しておくと、後から確認するときに役立ちます。

年末調整で控除を受けるまでの手順

  1. 申告書を保管する:初年度の確定申告のあと、税務署から年末調整用の申告書が送られてきます。転勤で住まなくなるときの手続きでは未使用分の提出が求められるため、使っていない年分も含めて保管します。紛失した場合の扱いは国税庁のQ&Aにも項目があるので、所轄の税務署に相談してください。
  2. 年末残高等証明書を受け取る:借入先から届く証明書で、その年の年末残高を確認します。
  3. 申告書に記入する:その年分の欄に、年末残高などを記入します。
  4. 勤務先に提出する:年末調整の書類と一緒に、申告書と証明書を勤務先に提出します。
  5. 反映を確認する:年末調整のあとに勤務先から受け取る書類で、控除が反映されたかを確かめます。

年末残高等証明書が年末調整に間に合わない場合や、2か所から給与を受けている場合の扱いも国税庁のQ&Aに項目があります。当てはまるときは、早めに勤務先と税務署に確認しましょう。国税庁は年末調整手続の電子化も進めているため、提出方法は勤務先の案内に従います。

毎年の控除額と、年末調整で引ける所得税の上限

年末調整で控除されるのは、その年の所得税額までです。冒頭の例で、控除前の所得税額が毎年18万円と仮定して、主な年を抜き出しました。

2026年4月入居・ZEH水準省エネ住宅・4500万円・35年・金利0.8%、所得税額は毎年18万円と仮定
年(暦年)年末残高控除額所得税から控除引ききれない額
2年目(2027年)43,130,619円245,000円180,000円65,000円
5年目(2030年)39,702,292円245,000円180,000円65,000円
9年目(2034年)35,001,351円245,000円180,000円65,000円
10年目(2035年)33,802,430円236,600円180,000円56,600円
13年目(2038年)30,147,599円211,000円180,000円31,000円

この例では9年目まで控除額が限度額の24.5万円で、10年目から残高×0.7%が下回って少しずつ減ります。13年間の控除額の合計は3,100,300円、そのうち所得税から控除できるのは2,340,000円です。引ききれない額は、前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円まで)を上限に翌年度の住民税から差し引かれます(総務省)。住民税側の計算は住民税の住宅ローン控除で確認できます。

4500万円・ZEH水準・2026年4月入居の年ごとの控除額
  1. 2026年245,000円
  2. 2027年245,000円
  3. 2028年245,000円
  4. 2029年245,000円
  5. 2030年245,000円
  6. 2031年245,000円
  7. 2032年245,000円
  8. 2033年245,000円
  9. 2034年245,000円
  10. 2035年236,600円
  11. 2036年228,100円
  12. 2037年219,600円
  13. 2038年211,000円

35年・金利0.8%・元利均等、特例対象個人に当たらない場合。所得税額による上限は考慮していません。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
4500万円・ZEH水準・2026年4月入居の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2026年44,255,237円245,000円
2027年43,130,619円245,000円
2028年41,996,971円245,000円
2029年40,854,220円245,000円
2030年39,702,292円245,000円
2031年38,541,116円245,000円
2032年37,370,618円245,000円
2033年36,190,721円245,000円
2034年35,001,351円245,000円
2035年33,802,430円236,600円
2036年32,593,883円228,100円
2037年31,375,631円219,600円
2038年30,147,599円211,000円

年末調整ではなく確定申告が必要になる場合

年末調整は勤務先が給与について行う手続きです。給与所得者でない場合は、2年目以後も確定申告書に計算明細書と年末残高等証明書を添えて控除を受けます。給与所得者でも、2年目以後の年分を同じ書類を添えた確定申告で受けることもできます。

転勤で家族とともに住まなくなった場合は、扱いが大きく変わります。国税庁の No.1234 では、控除を受けていた人が転任の命令などで家族と一緒に住まなくなる場合、住まなくなる日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」と未使用分の年末調整用申告書を税務署に出しておくと、再び住み始めた年(その年に賃貸していたら翌年)以後、残りの控除期間について再適用を受けられるとしています。再適用の最初の年分は確定申告が必要です。詳しくは転勤で家を貸すときの解説も参照してください。

毎年の年末調整の前に確認したいこと

  • 12月31日に住んでいるか:控除を受ける年の年末まで引き続き住んでいることが毎年の要件です。単身赴任で家族が住み続ける場合の扱いは No.1234 で定められています。
  • 合計所得金額:控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下(40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅では1,000万円以下)であることも年ごとに判定されます。詳しくは所得要件の解説へ。
  • 借り換えをした年:借換え後のローンが要件を満たせば控除は続きますが、対象になる年末残高の計算が変わる場合があります(国税庁 No.1233)。借り換え後の住宅ローン控除で計算方法を説明しています。
  • 繰上返済をした年:年末残高が減るため、限度額を下回っている年は控除額も減ります。繰上返済と住宅ローン控除も参考にしてください。

自分の控除額の推移を試算する

住宅ローン控除シミュレーションに借入額・返済期間・金利・住宅の区分・入居年月を入れると、年末調整で毎年控除される額の目安を一覧で確認できます。「毎年の所得税額」に源泉徴収票の税額の目安を入れると、所得税から控除できる額と引ききれない額が分かれて表示されます。

試算は返済予定どおりに返した場合の年末残高にもとづきます。実際の控除額は、毎年届く年末残高等証明書の残高と、その年の所得税額で決まります。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。