借り換え

借り換え後の住宅ローン控除:対象になる年末残高の計算

住宅ローンを借り換えた後も控除を受けるための要件と、控除の対象になる年末残高の計算式(A・B・C)を国税庁の説明に沿って解説。諸費用を借入れに含めた場合の計算例と、控除期間が延びない点も確認します。

この記事のポイント

  • 借り換え後も、当初のローンの返済のためで償還期間10年以上などの要件を満たせば控除は続く
  • 新しい借入額が借り換え直前の残高より多いと、控除の対象額は年末残高×A÷Bになる
  • 諸費用を借入れに含めても控除額は増えず、例では2028年の控除額はどちらも233,600円
  • 借り換えで控除期間は延びず、新しいローンにも10年以上の償還期間が必要

借り換え後も一定の要件で控除は続く

住宅ローンを借り換えた後も、一定の要件を満たせば住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を引き続き受けられます。国税庁(令和8年4月1日現在法令等)によると、借り換えによる新しいローンは、本来は前のローンを消すための借入れなので原則として控除の対象になりませんが、次の両方を満たす場合は対象になるとされています。

  1. 新しいローンが、当初の住宅ローンの返済のためのものであることが明らかであること
  2. 新しいローンが、償還期間10年以上であることなど、控除の対象となる要件に当てはまること

また、控除を受けられる年数は居住を始めた年から一定期間であり、借り換えによって延長されることはありません。控除の対象になる年末残高は、借り換え直前の残高と新しいローンの借入額の大小によって計算方法が変わります。以下で計算式と計算例を見ていきます。

控除の対象になる年末残高の計算式

国税庁は、借り換え後の控除の対象額を次のように説明しています。

  • A=借り換え直前の当初の住宅ローンの残高
  • B=借り換えによる新しいローンの借入額(当初金額)
  • C=新しいローンの年末残高

AがB以上なら、対象額はCそのものです。AがBより小さい(新しいローンのほうが多い)なら、対象額はC×A÷Bになります。

新しいローンの借入額が前の残高より多くなるのは、たとえば借り換えの諸費用を借入れに含めた場合です。このとき、増えた分は住宅の取得のための借入れではないため、年末残高のうち「A÷B」の割合だけが控除の対象になる、という考え方です。控除額そのものは、この対象額(取得対価のほうが少なければ取得対価)に0.7%を掛け、控除限度額と比べて小さいほうになります。

反対に、借り換えの際に手元資金で一部を返済して、新しい借入額を前の残高より少なくした場合(AがBより大きい場合)は、新しいローンの年末残高(C)がそのまま対象額になります。

計算例:諸費用を含めても控除は増えない

2024年1月に新築のZEH水準省エネ住宅に入居し(控除期間13年・控除限度額24.5万円、特例対象個人に当たらない場合)、3,800万円を35年・年1.0%(仮定)で借りたとします。2027年12月の返済後の残高は34,377,704円(A)で、ここで残り373回のまま年0.7%(仮定)に借り換えるとします。

借り換え後1年目(2028年末)の控除額の比較
ケース新しい借入額(B)2028年末の残高(C)控除の対象額控除額
借り換えない-33,429,911円33,429,911円234,000円
諸費用は現金払い(A=B)34,377,704円33,384,162円33,384,162円233,600円
諸費用60万円を借入れに含める34,977,704円33,966,827円33,384,167円(C×A÷B)233,600円

諸費用を借入れに含めると年末残高は増えますが、A÷Bの割合を掛けるため、控除の対象額はほぼ同じになり、控除額は変わりません。2028年から2036年までの控除額の合計も、どちらのケースも1,846,400円でした。借り換えない場合の同じ期間の合計1,858,700円との差は12,300円で、金利が下がって残高が早く減るぶん控除がわずかに減る計算です。

3,800万円・35年・1.0%の控除額(借り換えない場合)
  1. 2024年245,000円
  2. 2025年245,000円
  3. 2026年245,000円
  4. 2027年240,600円
  5. 2028年234,000円
  6. 2029年227,300円
  7. 2030年220,500円
  8. 2031年213,700円
  9. 2032年206,700円
  10. 2033年199,800円
  11. 2034年192,700円
  12. 2035年185,600円
  13. 2036年178,400円

2024年1月入居の新築ZEH水準省エネ住宅(控除限度額24.5万円)で、借り換えない場合です。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3,800万円・35年・1.0%の控除額(借り換えない場合)
年年末残高控除額
2024年37,164,895円245,000円
2025年36,245,102円245,000円
2026年35,316,069円245,000円
2027年34,377,704円240,600円
2028年33,429,911円234,000円
2029年32,472,597円227,300円
2030年31,505,664円220,500円
2031年30,529,019円213,700円
2032年29,542,562円206,700円
2033年28,546,194円199,800円
2034年27,539,819円192,700円
2035年26,523,332円185,600円
2036年25,496,633円178,400円

控除の減少と借り換えの効果を並べる

上の例を借り換えシミュレーションで計算すると、残高34,377,704円・残り373回・年1.0%から年0.7%への借り換えで、毎月の返済額は4,686円下がり、諸費用60万円を含めた総額は1,147,895円減ります。控除の減少12,300円と比べると、この例では借り換えの効果のほうがずっと大きい結果です。

ただし、控除の効果を実際に受けられる額は、所得税額(と住民税から控除できる上限)にも左右されます。また、借り換えで債務者を追加したり、住宅の持分を変更したりする場合の控除の扱いについて、住宅金融支援機構は税務署や税理士に確認するよう案内しています。共有や連帯債務が関わる場合は、特に事前の確認が必要です。

残高約3,438万円・残り373回・1.0%→0.7%(諸費用60万円)
  1. 今のローンを継続4,001万円
  2. 借り換え(諸費用込み)3,886万円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
残高約3,438万円・残り373回・1.0%→0.7%(諸費用60万円)
毎月の返済額支払総額
今のローンを継続107,269円40,010,877円
借り換え(諸費用込み)102,583円38,862,982円

控除期間は延びない・新しいローンも10年以上が必要

上の例では、2024年に入居しているため控除期間は2036年分までの13年間です。2027年に借り換えても、控除期間が借り換えの時点から数え直されることはありません。残りの控除年数は、入居年から数えて確認します。

また、新しいローンにも償還期間10年以上などの要件が必要です。国税庁は、この10年以上の期間を、借入れをしている期間ではなく、最初の返済から返済が終わるまでの期間と説明しています。残りが10年を切ったローンを短い期間で借り換えると、要件に当てはまらなくなる可能性があります。なお、住宅の取得時に償還期間10年未満の借入れ(いわゆるつなぎ融資)を受け、その後に10年以上のローンに借り換えた場合も、同じ取扱いになると国税庁は説明しています。

借り換え後の手続きで確認すること

  • 年末残高等証明書:借り換え後は新しい借入先から交付されます。2年目以降に年末調整で控除を受ける場合も、この証明書を勤務先に提出します。
  • 借り換えの内容がわかる書類:新しいローンが当初のローンの返済のためのものであることを示せるよう、完済の記録や契約書を保管しておきます。
  • A(借り換え直前の残高)とB(新しい借入額):AよりBが多い場合は、対象額の計算にA÷Bを使うため、両方の金額を控えておきます。
  • 控除の残り年数と控除限度額:入居年と住宅の区分で決まり、借り換えでは変わりません。

手続きの詳細や自分のケースでの扱いは、税務署で確認してください。控除の基本的な仕組みは住宅ローン控除の基本にまとめています。

控除額と借り換えの効果をツールで確認する

まず借り換えシミュレーションで、現在の残高・残り期間・金利と、借り換え後の金利・期間・諸費用を入力し、月々と総額の差を確認します。次に住宅ローン控除シミュレーションで、入居年・住宅の区分などから借り換えない場合の控除額の目安を出してください(このツールは借り換えを反映しないため、借り換え後の年末残高は返済表から読み取り、A÷Bの調整は自分で計算します)。諸費用の内訳は借り換え諸費用の内訳で確認できます。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。