家計の整理

住宅ローンは手取りの何割まで?額面の返済負担率との違い

【フラット35】の返済負担率は額面の給与収入で計算しますが、家計は手取りで回ります。額面600万円・手取り460万円と仮定した例で、同じ返済額が手取りの何%になるかと、手取りから予算を決める手順を示します。

この記事のポイント

  • 額面600万円で月125,000円の返済は額面の25.0%ですが、仮の手取り460万円では32.6%です。
  • 手取り460万円の25%から出した元金は、額面の25%で出すより約953万円小さくなります。
  • 手取りで決めた予算でも、金利が1ポイント上がると手取りに対する割合は4〜6ポイントほど上がります。
  • 審査で使う額面の割合と、家計の手取りの割合は、別の物差しとして並べて使います。

額面の25%は、手取りでは3割を超えることがある

年収(額面)600万円の人が月125,000円を返済すると、年間150万円で額面の25.0%です。ところが、説明用に手取りを年460万円と仮定すると、同じ返済額は手取りの32.6%にあたります。額面で見た割合と、実際に使えるお金に対する割合は、思っている以上に違います。

同じ月125,000円でも、手取りに対する割合が3割を超えると、食費や光熱費、教育費、貯蓄などに回せるお金は手取りの7割を下回ります。このページの手取り額は計算のための仮定です。実際の手取りは、税金や社会保険料、家族構成などによって変わります。自分の数字は、給与明細や前年の収入の記録などで確認してください。

【フラット35】の総返済負担率は、給与収入だけの人なら前年の給与収入の金額(額面)で計算するのに対し、毎月の返済は手取りから払います。この違いを意識して、二つの割合を並べて見ることが、このページの目的です。

同じ返済額を、額面と手取りで割ると何%になる?

額面600万円・手取り460万円(説明用の仮定)の場合
月々の返済額年間の返済額額面に対する割合手取りに対する割合
100,000円1,200,000円20.0%26.1%
125,000円1,500,000円25.0%32.6%
150,000円1,800,000円30.0%39.1%

額面の30%(月15万円)は、この仮定では手取りの約4割です。額面の基準の範囲内でも、手取りから見ると生活費や貯蓄に回せるお金が大きく減ることがわかります。

なお、【フラット35】の総返済負担率の基準(年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下)で使う年収は、給与収入だけの人なら前年の給与収入の金額とされています。審査の割合と家計の割合は、別の物差しとして使い分けましょう。

手取りの20%・25%から予算を出すと、借入額の目安はどうなる?

手取りを出発点にして予算を決める方法もあります。手取り年460万円の20%なら月76,666円、25%なら月95,833円です(円未満切捨て)。計算例として金利1.5%・35年の元利均等返済に当てはめると、元金の目安は次のとおりです。

金利1.5%(仮定)・35年・元利均等
予算の決め方月々の返済額元金の目安
手取り460万円の20%76,666円25,039,156円
手取り460万円の25%95,833円31,299,108円
額面600万円の25%125,000円40,825,066円

同じ「25%」でも、手取りで計算すると額面より元金の目安は約953万円小さくなります。どの割合を使うかに決まりはなく、生活費や貯蓄の状況によって適切な水準は違います。割合だけで決めず、次の手順のように実際の支出から考える方法もあわせて使いましょう。

金利1.5%・35年の毎月の返済額(予算の決め方別の元金)
  1. 手取りの20%(25,039,156円)76,666円
  2. 手取りの25%(31,299,108円)95,833円
  3. 額面の25%(40,825,066円)125,000円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
金利1.5%・35年の毎月の返済額(予算の決め方別の元金)
条件毎月の返済額総返済額利息の合計
手取りの20%(25,039,156円)76,666円32,199,426円7,160,270円
手取りの25%(31,299,108円)95,833円40,249,591円8,950,483円
額面の25%(40,825,066円)125,000円52,499,730円11,674,664円

割合ではなく、今の住居費から予算を決める方法

全国銀行協会の解説は、今の住居費(共益費や駐車場代を含む)に、年間の貯蓄のうち住居費に回せる額を足し、そこから購入後の管理費・保有税などを差し引いて、住宅ローンの返済に充てられる額を出す手順を紹介しています。貯蓄から回す額は少なめに見積もるべきだとしています。

説明用の例として、家賃月10万円、住宅購入のための積立て月2万円、購入後の税金・修繕の準備などを月2万円と仮定すると、返済に回せるのは月10万円です。金利1.5%なら、35年で元金32,660,052円、25年で25,003,980円が目安になります。

同協会によると、マンションでは修繕積立金・管理費・固定資産税などが年間30〜60万円程度、一戸建てでも固定資産税等が年間10〜20万円程度かかるのが一般的で、一戸建ては修繕費用を自分で計画的に準備する必要があります。今の家賃と同じ額をそのまま返済に回すと、これらの費用の分だけ家計が苦しくなります。

手取りで決めた予算でも、金利が上がると手取りに対する割合は上がる

手取りから予算を決めても、金利が変わる商品では割合は動きます。上の表の元金を、計算例として金利1.5%・35年で借りた後に、仮に金利が上がり最初からその金利が続くとすると、毎月の返済額は次のように変わります。

手取りの25%から出した31,299,108円なら、金利2%で月103,683円、2.5%で月111,893円です。手取り460万円に対する割合は25.0%から27.0%、29.2%へ上がります。額面の25%から出した40,825,066円では、2%で月135,239円、2.5%で月145,948円となり、手取りに対する割合は32.6%から35.3%、38.1%まで上がります。

どちらの予算でも1ポイントの上昇で割合は4〜6ポイントほど上がりますが、出発点が高いほど上がった後の水準も高くなります。上がった場合の月額は金利上昇シミュレーションで、自分の元金と残り期間を入れて確認できます。

金利が上がった場合の毎月の返済額(35年)
  1. 手取り25%の元金・1.5%95,833円
  2. 手取り25%の元金・2%103,683円
  3. 手取り25%の元金・2.5%111,893円
  4. 額面25%の元金・1.5%125,000円
  5. 額面25%の元金・2%135,239円
  6. 額面25%の元金・2.5%145,948円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
金利が上がった場合の毎月の返済額(35年)
条件毎月の返済額総返済額利息の合計
手取り25%の元金・1.5%95,833円40,249,591円8,950,483円
手取り25%の元金・2%103,683円43,546,119円12,247,011円
手取り25%の元金・2.5%111,893円46,994,606円15,695,498円
額面25%の元金・1.5%125,000円52,499,730円11,674,664円
額面25%の元金・2%135,239円56,799,612円15,974,546円
額面25%の元金・2.5%145,948円61,297,604円20,472,538円

手取りで考えるときに見落としやすい支出

  • ボーナスを前提にした支出:毎月の手取りだけで返済と生活費をまかなえるか
  • 年に1回・数年に1回の支出:固定資産税、車検、家電の買い替えなど
  • 収入が変わる予定:育児休業、時短勤務、転職、定年
  • 金利が変わる商品の場合:金利が上がったときの返済額の増加

ボーナスの手取りを年間の手取りに含めて割合を出すと、毎月の家計の実感より割合が低く見えることがあります。たとえば年間の手取り460万円のうち80万円がボーナスだと仮定すると、毎月の手取りは平均316,666円で、月125,000円の返済はその39.5%にあたります。年間の手取りに対する32.6%より、7ポイントほど重く感じる計算です。毎月の手取りに対する割合と、年間の手取りに対する割合を両方出しておくと安心です。ボーナス返済を使うかどうかはボーナス返済は使う?で比べています。

額面と手取りの割合を並べて決める

額面の返済負担率は、審査の基準を満たすかどうかの目安です。手取りに対する割合と、今の住居費から出した予算は、家計が回るかどうかの目安です。三つの数字を並べ、一番小さい借入額と一番大きい借入額の幅を把握しておくと、物件選びの範囲がはっきりします。

額面の計算方法は返済負担率の計算方法で、家計の予算の整理は住宅ローン返済の予算を整理するで説明しています。

手取りから出した月額で計算する

返済予算から元金を計算するツールの「月々の返済予算」に、手取りから決めた月額を入力してください。返済期間・基準の金利・比べたい金利を入れると、元金の目安と利息の合計、金利が上がった場合の元金の差が表示されます。額面の年収と負担率から求めた月額でも同じように計算し、二つの結果を比べましょう。

計算は元利均等・毎月返済・金利一定のモデルで、税金や社会保険料の計算、審査の可否の判定は行いません。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。