この記事のポイント
- 38歳で4,000万円・35年・1.0%で借りると完済は73歳で、65歳時点でも10,412,887円が残ります。
- 【フラット35】の借入期間の上限は「80歳-申込時の年齢」と35年のいずれか短い年数です。
- 65歳までに完済する27年返済なら、毎月28,009円増える代わりに総額は1,764,608円少なくなります。
- 45歳で300万円を期間短縮型で繰上返済すると、65歳時点の残高は3,663,902円少なくなります。
38歳で35年ローンなら、65歳時点の残高は約1,041万円
計算例として、38歳で4,000万円を35年(420回)・金利1.0%で借りると、完済は73歳です。毎月の返済額は112,915円で、60歳時点(264回返済後)の残高は16,510,911円、65歳時点(324回返済後)でも10,412,887円が残ります。金利は説明用の仮の数字です。
定年後も返済が続く計画では、収入が減る時期にどれだけ残高が残るかは、借りる前、または返済中の早い段階で知っておきたい数字です。このページでは、定年時の残高の計算方法と、残高を減らすための方法を、同じ例で比べます。
完済年齢の上限はどう決まっているか
住宅金融支援機構の【フラット35】ご利用条件(2026年4月1日現在)では、申込時の年齢が満70歳未満であること(親子リレー返済を利用する場合を除く)が申込要件の一つです。借入期間は15年(申込者本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年)以上で、「80歳-申込時の年齢(1年未満切上げ)」と「35年」のいずれか短い年数が上限とされています。38歳なら上限は35年、48歳なら32年です。
全国銀行協会の解説では、返済期間は最長35年とする金融機関などが多いものの、返済終了時の年齢制限(75歳や80歳など)があるのが一般的で、一部では最長45年や50年としているところもあるとされています。ただし、これらは「借りられる期間の上限」であり、定年後も無理なく返せるかどうかは別に考える必要があります。
計算例:60歳・65歳時点の残高
38歳で4,000万円・35年で借りた場合の、定年前後の残高を金利別に計算しました。金利は全期間一定と仮定しています。
| 金利 | 毎月の返済額 | 60歳時点の残高 | 65歳時点の残高 |
|---|---|---|---|
| 1.0% | 112,915円 | 16,510,911円 | 10,412,887円 |
| 1.8% | 128,437円 | 17,852,321円 | 11,474,879円 |
金利が1.8%なら、毎月の返済額が15,522円多いうえに、65歳時点の残高も1,061,992円多く残ります。金利が高いと元金の減り方が遅くなるため、定年時の残高にも影響が出ます。変動金利で借りている場合は、途中で金利が上がると、そのときの残高と残り期間に応じて定年時の残高が変わります。
- 1.0%
- 1.8%
38歳で借りた場合、22年後が60歳、27年後が65歳にあたります。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 経過 | 1.0% | 1.8% |
|---|---|---|
| 0年後 | 40,000,000円 | 40,000,000円 |
| 5年後 | 35,105,769円 | 35,706,663円 |
| 10年後 | 29,960,716円 | 31,009,325円 |
| 15年後 | 24,551,978円 | 25,869,962円 |
| 20年後 | 18,866,054円 | 20,246,980円 |
| 25年後 | 12,888,728円 | 14,094,874円 |
| 30年後 | 6,605,069円 | 7,363,857円 |
| 35年後 | 0円 | 0円 |
定年までに完済する期間を逆算する
全国銀行協会の解説は、定年退職までに返済が終わる返済期間を設定する考え方として、定年の年齢から返済開始時の年齢を差し引く方法を紹介しています。定年が65歳ならその年齢から引いてもよいが、60歳以降の収入が減る可能性があるなら、60歳から差し引いたほうがよいとしています。
上の例で、65歳までに完済するよう返済期間を27年(324回)にすると、毎月の返済額は140,924円となり、35年より28,009円多くなります。その代わり、総返済額は45,659,069円で、35年の47,423,677円より1,764,608円少なくなります。毎月の負担が増えても家計が回るかを確かめたうえで、期間を決めることが大切です。
繰上返済で定年時の残高を減らす
35年で借りたあと、手元資金ができたときに繰上返済する方法もあります。上の1.0%の例で、45歳(84回返済後、残高33,078,552円)のときに300万円を期間短縮型で繰上返済すると、返済期間は34か月短くなり、完済はおよそ70歳2か月の時点に早まります。減る利息は913,490円で、65歳時点の残高は6,748,985円と、繰上返済しない場合より3,663,902円少なくなります。
全国銀行協会の解説では、期間短縮型は返済額軽減型より利息の軽減効果が大きく、毎月の返済に余裕がない場合や教育費の負担増が予想される場合には返済額軽減型も検討するよう勧めています。また、金融機関によっては繰上返済の金額に制限があったり、手数料がかかったりします。上の試算は手数料0円の前提です。
84回返済後(45歳)に300万円を繰上返済、手数料0円とした試算。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 方法 | 利息の合計 | 毎月の返済額 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 繰上返済なし | 7,423,677円 | 112,915円 | 35年 |
| 期間短縮型 | 6,510,187円 | 112,915円 | 32年2か月 |
| 返済額軽減型 | 6,982,902円 | 102,674円 | 35年 |
退職金での一括返済を前提にするときの考え方
定年時の残高を退職金でまとめて返す計画を立てる人もいます。その場合は、退職金の見込み額と定年時の残高を比べるだけでなく、返済後に手元に残るお金で老後の生活費や住まいの修繕などをまかなえるかも確かめる必要があります。全国銀行協会の解説が、借りられる金額と安心して返せる金額は大きく異なる場合があり、老後資金なども含めた将来の収支を見積もる必要があると述べているのも、この点に関わります。
退職金の額や受け取り方は勤務先の制度によって違い、将来変わることもあります。見込み額は勤務先の資料で確認し、全額を返済に充てる前提ではなく、一部を充てる場合や充てない場合の残高も計算しておくと、計画に幅を持たせられます。退職金で一括返済できる見込みがあっても、それまでの返済額や金利が変われば定年時の残高も変わるため、見込みは定期的に更新してください。
定年時の残高を確かめる手順
- 返済予定表で、60歳・65歳になる月の回の残高を確認する(予定表がなければ計算ツールで残高の推移を出す)
- 金利が上がった場合の残高も計算する(変動金利の場合)
- 退職金や貯蓄で返せる額と比べ、残る額と返済後の手元資金を見る
- 足りない場合は、繰上返済の時期と金額、または返済期間の見直しを比べる
残り期間の読み方は残りの返済期間の解説で、金利上昇への備え方は金利上昇への備えで説明しています。数字は年に一度ほど見直すと、計画とのずれに早く気づけます。
自分の年齢と残高で試算する
金利上昇シミュレーションにローン残高・残りの返済期間・現在の金利を入れると、年別の返済表で各年末の残高が分かり、定年の年の残高を確認できます。比べたい金利を入れれば、金利が上がった場合の残高の違いも見られます。
繰上返済の効果は繰り上げ返済シミュレーションで、「繰り上げる時期」を指定して期間短縮型と返済額軽減型を比べてください。これから借りる方は返済予算から元金を計算で、定年までの期間で返せる元金の目安も確かめられます。どの結果も審査や借入可能額を示すものではありません。
参照した情報
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。