金利上昇への備え

金利上昇への備え:家計で確かめる5つの数字

住宅ローンの金利上昇に備えるために、返済予定表と家計から確かめておきたい5つの数字を整理します。残高2,400万円・残り27年の例で、上昇幅別の増加額、月1万円・3万円増える金利、繰上返済の効果を計算します。

この記事のポイント

  • 備えは、金利が上がった場合の返済の変化と家計の対応力を、自分の数字で把握することから始まります。
  • 残高2,400万円・残り27年・0.75%の例では、1ポイント上がると毎月11,150円増えます。
  • 同じ例で毎月1万円増えるのは約1.651%、3万円増えるのは約3.288%になったときです。
  • 1.75%の時点で200万円を繰上返済すると、減る利息は期間短縮型で1,131,075円、返済額軽減型で510,980円です。

備えの第一歩は「自分の数字」を知ること

金利がこの先どうなるかは誰にも分かりません。備えとしてできるのは、金利が上がった場合に自分の返済がどう変わり、家計がどこまで対応できるかを、数字で把握しておくことです。このページでは、次の5つの数字を順に確かめます。

  1. 今の残高・残り回数・適用金利
  2. 金利が上がった場合の毎月の増加額
  3. 毎月1万円・3万円増える金利の水準
  4. 家計から返済に回せる上限
  5. 手元資金と、繰上返済に使った場合の効果

計算例として、残高2,400万円・残り27年(324回)・適用金利0.75%の変動金利のローンを使います。金利はすべて説明用の仮の数字です。

数字1:今の残高・残り回数・適用金利

出発点は、返済予定表に載っている同じ日付の残高、残りの返済回数、現在の適用金利です。借入時の金額や広告の金利ではなく、今の契約の数字を使います。あわせて、金利タイプ、優遇幅が通期か当初期間だけか、5年ルール・125%ルールの有無もメモしておきましょう。

例のローンでは、毎月の返済額は81,851円です。そろえ方の詳しい手順は返済予定表の読み方で説明しています。数字がそろっていないと、以下の計算はすべてずれてしまいます。

数字2:金利が上がった場合の毎月の増加額

例のローンで、適用金利が上がった場合の返済額を計算しました。上がった金利が残り期間ずっと続き、すぐに返済額を計算し直す前提です。

残高2,400万円・残り324回、現在0.75%
適用金利毎月の返済額増加額残りの総返済額
0.75%(現在)81,851円-26,519,213円
1.0%84,555円+2,704円27,395,337円
1.25%87,315円+5,464円28,289,510円
1.75%93,001円+11,150円30,131,735円
2.75%105,028円+23,177円34,028,537円

0.25ポイント上がるごとの増加は、最初の2回で2,704円、2,760円と、およそ2,700円台です。1ポイント上がると11,150円、2ポイントなら23,177円と、上昇幅が大きくなるほど増加額は少しずつ加速します。5年ルールがある契約では、引落額が変わるのは見直しの時期になりますが、負担が増えること自体は変わりません。

残高2,400万円・残り27年の毎月の返済額(金利別)
  1. 0.75%(現在)81,851円
  2. 1.0%84,555円
  3. 1.25%87,315円
  4. 1.75%93,001円
  5. 2.75%105,028円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
残高2,400万円・残り27年の毎月の返済額(金利別)
条件毎月の返済額総返済額利息の合計
0.75%(現在)81,851円26,519,213円2,519,213円
1.0%84,555円27,395,337円3,395,337円
1.25%87,315円28,289,510円4,289,510円
1.75%93,001円30,131,735円6,131,735円
2.75%105,028円34,028,537円10,028,537円

数字3:毎月1万円・3万円増えるのは何%のときか

上昇幅から増加額を見るのとは逆に、「毎月いくら増えたら困るか」から金利を求める方法もあります。例のローンでは、返済額が1万円増えるのは適用金利が約1.651%になったとき、3万円増えるのは約3.288%になったときです(0.001%刻みで、増加額が初めて各金額に届く金利を探しました)。

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」では、変動型・固定期間選択型の利用者に、金利上昇で毎月の返済額が増えた場合の対応を尋ねています。1万円増加なら「返済目処や資金余力があるので返済継続」が58.8%でしたが、3万円増加では24.2%に下がり、「見当がつかない、わからない」は15.5%から27.2%に増えました。自分にとっての1万円・3万円の金利を知っておくと、「見当がつかない」状態を減らせます。

数字4:家計から返済に回せる上限

全国銀行協会の解説は、借りられる金額と安心して返せる金額は大きく異なる場合があるとし、住居費に充てられる金額から、管理費や保有にかかる税金などを差し引いて返済に充てられる最大額を求める手順を紹介しています。マンションでは修繕積立金や管理費、固定資産税・都市計画税などが年間30〜60万円程度、一戸建てでも固定資産税・都市計画税等が年間10〜20万円程度かかるのが一般的とされています。

この上限と数字2・3を並べると、どの金利から家計が苦しくなるかが見えます。例えば返済に回せる上限が月9万円なら、例のローンでは1.75%(93,001円)の手前で上限を超えます。予算の整理の仕方は返済予算の整理でも説明しています。

数字5:手元資金と繰上返済の効果

金利が上がったときに使える手段の一つが繰上返済です。全国銀行協会の解説では、期間短縮型は利息の軽減効果が大きく、毎月の返済に余裕がない場合や教育費の負担増が予想される場合には返済額軽減型も検討するよう述べています。

例のローンで適用金利が1.75%になった時点で200万円を繰上返済すると(手数料0円)、返済額軽減型なら毎月93,001円が85,251円になり、7,750円軽くなります。減る利息は510,980円です。期間短縮型なら返済期間が33か月短くなり、減る利息は1,131,075円です。ただし、繰上返済に使ったお金は戻ってきません。生活費の予備や近い将来の支出に必要な額を残したうえで、使える額を把握しておくことが大切です。

残高2,400万円・残り27年・1.75%で200万円繰上返済
  1. 繰上返済なし613万円
  2. 期間短縮型500万円
  3. 返済額軽減型562万円

適用金利が1.75%になった時点で200万円を繰上返済、手数料0円とした試算。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
残高2,400万円・残り27年・1.75%で200万円繰上返済
方法利息の合計毎月の返済額返済期間
繰上返済なし6,131,735円93,001円27年
期間短縮型5,000,660円93,001円24年3か月
返済額軽減型5,620,755円85,251円27年

返済が苦しくなりそうなときの選択肢と相談先

全国銀行協会のFPの回答では、住宅ローンの負担が重くなったときの軽減策として、借り換え、繰上返済の返済額軽減型、家計の見直しを挙げています。借り換えには保証料や登録免許税、司法書士手数料、印紙代などの諸費用がかかり、一般的な額は50万〜70万円程度とされ、貯蓄が大きく減るならかえって家計のリスクになると注意しています。

返済が実際に難しくなった場合は、早めに借入先の金融機関に相談してください。全国銀行協会は、全国銀行協会相談室で、住宅ローンなどの返済が困難になっている個人向けローンの利用者を対象に、無料のカウンセリングサービスを行っています。完済時の年齢と残高の確認は定年時の残高の計算が参考になります。

5つの数字をツールで確かめる

金利上昇シミュレーションに、数字1の残高・残り期間・適用金利と、数字4の毎月の予算を入れると、上昇幅ごとの返済額と予算との差が一度に表示されます。数字5は繰り上げ返済シミュレーションで、繰り上げる額と手数料を入れて、期間短縮型と返済額軽減型を比べてください。

年に一度、返済予定表が届いたときなどに5つの数字を更新しておくと、金利の変更通知が来ても慌てずに判断できます。残高が減れば数字2・3の増加額も小さくなり、収入や家族構成が変われば数字4の上限も変わるため、一度計算して終わりにせず、定期的に見直すことに意味があります。どの結果も将来の金利を予測するものではありません。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。