この記事のポイント
- 3800万円・35年・1.3%を基準に、援助300万円で月々8,895円、600万円で17,789円返済額が減ります。
- 600万円の援助で3200万円・25年にすると、月々は12,331円増えますが、利息は3,820,065円減ります。
- 親族からの借入金は住宅ローン控除の対象にならず、贈与と借入れで税の扱いが変わります。
- ZEH水準の例では、600万円の援助で13年間の控除額が426,600円減る計算です。
援助300万円で月々約9千円、600万円で約1.8万円の差
親からの援助を頭金に回して借入額を減らすと、月々の返済額と総額の利息がどれだけ変わるかを計算しました。計算例として、借入額3800万円・35年・金利1.3%(仮定の金利)の元利均等返済を基準にします。
| 援助額 | 借入額 | 月々の返済額 | 総返済額に含まれる利息 |
|---|---|---|---|
| なし | 3800万円 | 112,664円 | 9,318,215円 |
| 300万円 | 3500万円 | 103,769円 | 8,582,586円 |
| 600万円 | 3200万円 | 94,875円 | 7,846,868円 |
援助300万円で月々8,895円、利息は735,629円少なくなり、600万円では月々17,789円、利息は1,471,347円少なくなります。援助額に対して利息の減少は小さく見えますが、月々の負担が35年間続けて軽くなることに加え、金利が上がった場合の増え方も小さくなります。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 条件 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
| 援助なし・3800万円 | 112,664円 | 47,318,215円 | 9,318,215円 |
| 援助300万円・3500万円 | 103,769円 | 43,582,586円 | 8,582,586円 |
| 援助600万円・3200万円 | 94,875円 | 39,846,868円 | 7,846,868円 |
同じ援助で「期間を短くする」使い方もある
援助を受けて借入額を減らしたうえで、月々の返済額が増えることを受け入れて、返済期間を短くする考え方もあります。同じ金利1.3%で25年返済にした場合を比べました。
| 借入額・期間 | 月々の返済額 | 総返済額に含まれる利息 |
|---|---|---|
| 3800万円・35年 | 112,664円 | 9,318,215円 |
| 3500万円・25年 | 136,713円 | 6,013,629円 |
| 3200万円・25年 | 124,995円 | 5,498,150円 |
600万円の援助を受けて3200万円・25年にすると、月々は12,331円増えますが、利息は3,820,065円少なく、完済も10年早まります。一方、月々の余裕は小さくなるため、教育費や老後資金など、ほかの支出との兼ね合いで考える必要があります。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 条件 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
| 3800万円・35年 | 112,664円 | 47,318,215円 | 9,318,215円 |
| 3500万円・25年 | 136,713円 | 41,013,629円 | 6,013,629円 |
| 3200万円・25年 | 124,995円 | 37,498,150円 | 5,498,150円 |
金利が上がったときの差も小さくなる
借入額が小さいと、金利が上がったときの返済額の増え方も小さくなります。上の35年返済の例で、金利が仮に1.3%から2.3%になった場合、3800万円なら月々112,664円から131,809円へ19,145円増えますが、3500万円なら103,769円から121,403円へ17,634円の増加で済みます。
反対に、月々の返済額を先に決めて借入額を考えることもできます。月々11万円・35年なら、金利1.3%で数式上借りられる元金は37,101,723円ですが、金利2.3%では31,712,567円に下がります。援助で頭金を増やしておくと、金利の前提が変わっても予算内に収まりやすくなります。金利が上がった場合の返済額は、この記事の最後で紹介する金利上昇シミュレーションで確認できます。
援助の受け方で税の扱いが変わる
親からお金を受け取る方法は、大きく「贈与を受ける」「借りる」の2つで、税の扱いが異なります。
- 贈与で受け取る:父母や祖父母からの住宅取得等資金の贈与なら、要件を満たせば省エネ等住宅で1,000万円、それ以外で500万円まで贈与税が非課税です(国税庁 No.4508、令和6年〜令和8年の贈与が対象)。非課税の額を超える部分については、要件を満たせば相続時精算課税を選ぶこともできます(No.4503)。どちらも贈与を受けた翌年2月1日〜3月15日の申告が必要です。
- 親から借りる:親族や知人からの借入金は、住宅ローン控除の対象になる借入金に当たりません(国税庁 No.1211-1)。返済の約束や記録をどうするかも含めて、税務署などに相談しておくと安心です。
贈与の非課税の要件は住宅取得等資金の贈与税の非課税、相続時精算課税との違いは住宅取得等資金と相続時精算課税で詳しく説明しています。
援助を受ける前に確認したい5つの点
- 誰から受けるか:非課税の特例は直系尊属からの贈与が対象で、配偶者の父母は養子縁組をしていない限り当たりません。
- 誰の名義にするか:受贈者が住宅を所有する(共有持分を含む)ことが要件です。援助を受けた人の持分と資金の出し方をそろえます。
- いつ受けるか:贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅の新築等をすること、原則として翌年12月31日までに住むことが必要です。
- 住宅ローン控除への影響:贈与の特例を受けた額は、控除の計算に使う取得対価から差し引かれます。
- 手元資金を残すか:頭金を増やすほど借入額は減りますが、入居時の諸費用や急な出費に備える現金も必要です。
どれだけを頭金に回すかに正解はなく、家計の状況で変わります。頭金の効果は頭金はいくら入れるかでも計算しています。入居時の諸費用に必要な現金も別に見積もっておきましょう。
頭金を増やした場合の住宅ローン控除
援助で借入額が減ると、年末残高×0.7%も小さくなるため、住宅ローン控除の額が減る場合があります。控除限度額に届いていない範囲では、借入額が300万円減ると、1年目の控除額はおおむね2万円前後小さくなる計算です(300万円×0.7%=21,000円が目安)。限度額を上回っている範囲では、借入額を減らしても控除額は変わりません。
冒頭の3つのケースを、2026年4月入居の新築として13年間の控除額で比べると、ZEH水準省エネ住宅(限度額24.5万円)では借入3800万円で2,873,800円、3500万円で2,676,500円、3200万円で2,447,200円です。省エネ基準適合住宅(限度額14万円)では、どのケースも毎年限度額に届くため1,820,000円で変わりません。600万円の援助による利息の減少1,471,347円に対し、ZEH水準の例では控除額が426,600円減る計算です。
贈与の特例を受けた額は控除の取得対価からも差し引かれるため、借入額が「取得対価−贈与額」を上回る場合はその分も控除の対象外になります。控除額の減少と利息の減少は性質の違う数字なので、両方を計算したうえで、手元資金とのバランスを考えましょう。
援助額を変えて返済額を試算する
返済予算シミュレーションに月々の返済予算・期間・金利を入れると、数式上の元金の目安が分かります。物件価格からこの元金を引いた額が、頭金や援助で用意したい額の目安です。比べたい金利を入れると、金利が上がった場合の差も表示されます。
借入額が決まっている場合は、金利上昇シミュレーションに援助前と援助後の借入額をそれぞれ入れて、月々の返済額と残りの総額を比べてください。住宅ローン控除への影響は住宅ローン控除シミュレーションで確認できます。
参照した情報
- 国税庁:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
- 国税庁:No.4503 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例
- 国税庁:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。