税と控除

子育て世帯・若者夫婦世帯の住宅ローン控除:借入限度額の上乗せ

19歳未満の扶養親族がいる世帯や、夫婦のどちらかが40歳未満の世帯は、住宅ローン控除の控除限度額が上乗せされます。対象者の判定日、区分ごとの上乗せ額、上乗せが効かないケースを4500万円の例で計算します。

この記事のポイント

  • 40歳未満で配偶者がいる人、40歳未満の配偶者がいる人、19歳未満の扶養親族がいる人が特例対象個人です。
  • 特例対象個人に当たるかは、居住年の12月31日の状況で判定します。
  • 4500万円のZEH水準の例では上乗せの差は293,800円で、差が出るのは8年目までです。
  • 2026年以降に40㎡台の認定住宅等へ入居した場合は、上乗せ措置を使えません。

対象になれば、控除限度額が区分により3.5万〜7万円上がる

住宅ローン控除には、「特例対象個人」に当たる人の控除限度額を上乗せする措置があります。国税庁 No.1211-1(令和8年4月1日現在法令等)では、特例対象個人を次のいずれかに当たる人としています。

  • 年齢40歳未満で、配偶者がいる人
  • 年齢40歳以上で、40歳未満の配偶者がいる人
  • 19歳未満の扶養親族がいる人

年齢や配偶者・扶養親族に当たるかどうかは、居住年の12月31日の状況で判定します。計算例として、2026年4月に新築のZEH水準省エネ住宅に入居し、4500万円を35年・金利0.8%(月々122,878円)で借りた場合、13年間の控除額の合計は、上乗せなしで3,100,300円、上乗せありで3,394,100円です。差は293,800円になります。

特例対象個人に当たるかの具体例

定義を具体的な家族に当てはめると、次のようになります(いずれも居住年の12月31日時点)。

  • 38歳・配偶者あり・子どもなし:40歳未満で配偶者がいるので当たります。
  • 42歳・配偶者37歳:本人は40歳以上ですが、配偶者が40歳未満なので当たります。
  • 45歳・配偶者44歳・15歳の子どもを扶養:19歳未満の扶養親族がいるので当たります。
  • 45歳・配偶者44歳・子どもは20歳以上のみ:どの条件にも当たりません。
  • 35歳・単身・扶養親族なし:配偶者も19歳未満の扶養親族もいないので当たりません。

国土交通省の説明では、この措置を「子育て世帯等」への借入限度額の上乗せとして紹介しています。夫婦で共有し、2人とも控除を受ける場合は、それぞれが特例対象個人に当たるかを判定します。

区分ごとの控除限度額(上乗せ前と上乗せ後)

入居年別の控除限度額と特例対象個人の上乗せ(国税庁 No.1211-1・No.1211-3)
住宅の区分通常の控除限度額特例対象個人
新築・認定住宅(2024〜2030年入居)31.5万円35万円
新築・ZEH水準省エネ住宅(同)24.5万円31.5万円
新築・省エネ基準適合住宅(2026・2027年入居)14万円21万円
中古・認定住宅、ZEH水準省エネ住宅(2026〜2030年入居)24.5万円31.5万円
中古・省エネ基準適合住宅(同)14万円21万円
中古・その他の住宅14万円上乗せなし

控除期間は上乗せの有無にかかわらず同じです(新築の上の区分と、2026年以降入居の中古の認定住宅等は13年)。国土交通省の説明では、借入限度額で表すと、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の新築は4,500万円から5,000万円へ、既存住宅は3,500万円から4,500万円へ上乗せされます。中古住宅の上乗せは、2026年以降の入居で新たに設けられたものです。

上乗せの効果は「残高×0.7%」が通常の限度額を超える年だけ

上乗せされるのは控除額の上限であって、控除率は0.7%のままです。そのため、効果が出るのは年末残高×0.7%が通常の控除限度額を上回る年に限られます。冒頭のZEH水準省エネ住宅の例で、年ごとに比べました。

2026年4月入居・新築ZEH水準省エネ住宅・4500万円・35年・金利0.8%
年残高×0.7%上乗せなし(24.5万円)上乗せあり(31.5万円)
1年目309,700円245,000円309,700円
2年目301,900円245,000円301,900円
5年目277,900円245,000円277,900円
8年目253,300円245,000円253,300円
9年目以降245,000円以下同じ額同じ額

この例では8年目まで差があり、9年目以降は残高×0.7%が24.5万円以下になるため、上乗せの有無で控除額は変わりません。借入額が大きいほど、差が出る期間が長くなります。

上乗せあり(31.5万円)の年ごとの控除額
  1. 2026年309,700円
  2. 2027年301,900円
  3. 2028年293,900円
  4. 2029年285,900円
  5. 2030年277,900円
  6. 2031年269,700円
  7. 2032年261,500円
  8. 2033年253,300円
  9. 2034年245,000円
  10. 2035年236,600円
  11. 2036年228,100円
  12. 2037年219,600円
  13. 2038年211,000円

2026年4月入居・新築ZEH水準・4500万円・35年・金利0.8%、特例対象個人の場合。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
上乗せあり(31.5万円)の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2026年44,255,237円309,700円
2027年43,130,619円301,900円
2028年41,996,971円293,900円
2029年40,854,220円285,900円
2030年39,702,292円277,900円
2031年38,541,116円269,700円
2032年37,370,618円261,500円
2033年36,190,721円253,300円
2034年35,001,351円245,000円
2035年33,802,430円236,600円
2036年32,593,883円228,100円
2037年31,375,631円219,600円
2038年30,147,599円211,000円
上乗せなし(24.5万円)の年ごとの控除額
  1. 2026年245,000円
  2. 2027年245,000円
  3. 2028年245,000円
  4. 2029年245,000円
  5. 2030年245,000円
  6. 2031年245,000円
  7. 2032年245,000円
  8. 2033年245,000円
  9. 2034年245,000円
  10. 2035年236,600円
  11. 2036年228,100円
  12. 2037年219,600円
  13. 2038年211,000円

2026年4月入居・新築ZEH水準・4500万円・35年・金利0.8%、特例対象個人に当たらない場合。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
上乗せなし(24.5万円)の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2026年44,255,237円245,000円
2027年43,130,619円245,000円
2028年41,996,971円245,000円
2029年40,854,220円245,000円
2030年39,702,292円245,000円
2031年38,541,116円245,000円
2032年37,370,618円245,000円
2033年36,190,721円245,000円
2034年35,001,351円245,000円
2035年33,802,430円236,600円
2036年32,593,883円228,100円
2037年31,375,631円219,600円
2038年30,147,599円211,000円

上乗せがあっても控除額が変わらないケース

同じ4500万円・35年・0.8%でも、新築の認定住宅なら、通常の限度額が31.5万円で、1年目の残高×0.7%(309,700円)が最初から限度額を下回ります。そのため上乗せ(35万円)があってもなくても、13年間の合計は3,394,100円で変わりません。

反対に、限度額が低い区分ほど上乗せが効きやすくなります。2026年に中古の省エネ基準適合住宅へ入居し、3000万円を30年・金利1%で借りた場合、13年間の控除額の合計は上乗せなしで1,804,600円、上乗せあり(21万円)で2,185,600円と、381,000円の差になります。自分が特例対象個人に当たるかだけでなく、住宅の区分と借入額で差が出るかを確かめることが大切です。

上乗せが使えない住宅:40㎡台の認定住宅等

2026年1月1日以降に、床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の認定住宅等(新築の「特例認定住宅等」、中古の「特例既存認定住宅等」)に入居した場合は、特例対象個人への上乗せ措置を使えません。国土交通省も、子育て世帯等の上乗せ措置を利用する人は床面積50㎡以上が必要と整理しています。

コンパクトなマンションを検討している若い夫婦や子育て世帯は、登記上の床面積が50㎡に届くかどうかで控除限度額が変わる点に注意しましょう。床面積の判定方法は床面積要件の解説で詳しく説明しています。

判定日は居住年の12月31日。書類が必要になる場合も

特例対象個人に当たるかは、入居した年の12月31日の状況で判定します。たとえば年の途中で40歳になる人は、12月31日時点の年齢で判断されます。子どもについても、その時点で19歳未満の扶養親族がいるかどうかです。判定の基準日は、入居後の各年ではなく居住年の12月31日です。

特例対象個人に当たる要件となる配偶者や扶養親族の全員が非居住者である場合は、親族関係書類や送金関係書類の提出が必要です(給与等の源泉徴収や年末調整の際に提出・提示した書類は不要)。単身赴任などで家族が海外にいる場合は、早めに税務署に確認しておきましょう。

上乗せの有無を切り替えて試算する

住宅ローン控除シミュレーションの「特例対象個人(子育て世帯・若者夫婦世帯)」を「当たる」「当たらない」で切り替えると、年ごとの控除額の差が分かります。40㎡台の認定住宅等で上乗せが使えない場合は「当たらない」で計算してください。

上乗せで控除額が増えても、実際に控除されるのは所得税額と住民税の上限の範囲です。毎年の所得税額を入れて確認しましょう。所得税で引ききれない額の扱いは住民税の住宅ローン控除、区分ごとの違いは省エネ性能と住宅ローン控除で説明しています。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。