諸費用と契約

融資手数料の定率型と定額型:金利との組み合わせで総額を比べる

借入額に比例する定率型と一定額の定額型の融資手数料を、金利の違いと合わせて比較。3,500万円・35年などの計算例で、何年目に有利不利が入れ替わるかを示します。

この記事のポイント

  • 3,500万円・35年の例では、払い切ればA(手数料2.2%・年0.8%)が641,062円少なくなります。
  • 10年後に完済・借り換えするならB(手数料5.5万円・年1.0%)が90,188円少なくなります。
  • 逆転は141回目(約11年9か月)のあたりで、借入額が変わっても136〜144回目と差は小さめです。
  • 手数料77万円を借入れに含めると、35年で113,101円の利息が手数料分にかかります。

定率型と定額型、総額が少ないのはどちら?借りている期間で答えが変わる

融資手数料の比較は、手数料だけを見ても金利だけを見ても結論が出ません。計算例として、借入額3,500万円・35年で、次の2つの見積りを仮定します。A:手数料は借入額の2.2%(77万円)、金利年0.8%。B:手数料5.5万円、金利年1.0%。

35年間払い続けると、手数料込みの総額はAが40,909,674円、Bが41,550,736円で、Aの方が641,062円少なくなります。ところが10年後に完済(または借り換え)する場合はBの方が90,188円少なく、入れ替わるのは141回目(約11年9か月)の返済のあたりです。手数料率と金利はいずれも説明用の仮の値です。

定率型・定額型とは:手数料の決まり方の違い

全国銀行協会の解説では、融資手数料は住宅ローンを申し込む際にかかる事務手数料で、金融機関等によって金額や徴収方法が異なるとされています。【フラット35】でも融資手数料は取扱金融機関により異なり、各機関の金利情報とあわせて案内されています。

この記事では、借入額に一定の率を掛けて決まるものを「定率型」、借入額にかかわらず一定額のものを「定額型」と呼びます。定率型は借入額が大きいほど手数料も大きくなり、2.2%なら3,500万円で77万円、4,000万円で88万円です。定額型は借入額が変わっても同じ額です。どちらの方式か、税込みか、いつ払うかは見積書で確認してください。

比べるときに大切なのは、手数料と金利を別々に評価しないことです。手数料は最初に一度だけ払う固定の費用、金利は残高に対して毎月かかる費用です。性質の違う2つの費用を同じ物差しにそろえるには、「ある時点までに払った合計と、その時点の残高」で比べる方法が分かりやすく、この記事の表もその方法で計算しています。

計算例:3,500万円・35年で2つの見積りを並べる

借入額3,500万円・35年・元利均等の比較(仮の条件)
項目A:定率型B:定額型
融資手数料770,000円55,000円
金利年0.8%年1.0%
毎月の返済額95,572円98,800円
35年間の返済総額40,139,674円41,495,736円
手数料込みの総額40,909,674円41,550,736円

毎月の差は3,228円です。最初に払う手数料はAが715,000円多い一方、金利差による返済総額の差は35年で1,356,062円あり、払い切る前提ではAの総額が小さくなります。この1,356,062円は、金利上昇シミュレーションで残高3,500万円・420か月・現在の金利0.8%・比べたい金利1.0%と入れたときの総額の差と同じ値です。

3,500万円・35年の毎月の返済額(A:0.8%とB:1.0%)
  1. A:定率型・年0.8%95,572円
  2. B:定額型・年1.0%98,800円

手数料(Aは77万円、Bは5.5万円)は含まない返済額です。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3,500万円・35年の毎月の返済額(A:0.8%とB:1.0%)
条件毎月の返済額総返済額利息の合計
A:定率型・年0.8%95,572円40,139,674円5,139,674円
B:定額型・年1.0%98,800円41,495,736円6,495,736円

途中で完済・借り換えすると、どこで逆転する?

住宅ローンを最後まで同じ条件で返すとは限りません。そこで「手数料+その時点までの返済額+その時点の残高」を、ある時点で全部精算した場合の負担として比べます。残高を一括で返すときの手数料などは含めていません。

途中で残高を精算した場合の負担の差(B−A)
精算する時点Bの負担−Aの負担少ない方
3年後−511,335円B
5年後−383,035円B
10年後−90,188円B
15年後159,644円A
35年(完済)641,062円A

定率型の手数料は最初に一度に払うため、短い期間で終わると割高になります。金利差の効果は残高に対して毎月少しずつ積み上がるので、長く借りるほど定率型の低い金利が効いてきます。数年内の借り換えや大きな繰上返済を考えているかどうかで、見え方が変わる比較です。

実際に途中で完済する場合は、繰上返済の手数料や抵当権の抹消、借り換え先の諸費用もかかります。表の差額はそれらを含まない「手数料と金利だけ」の比較なので、具体的な計画がある場合はその費用も加えて確かめてください。

借入額が変わると、差と逆転の時期はどう動く?

同じ手数料率2.2%・定額5.5万円、金利0.8%と1.0%、35年の比較
借入額定率型の手数料払い切った場合の差(B−A)逆転する返済回毎月の差
2,500万円550,000円473,589円136回目2,306円
3,500万円770,000円641,062円141回目3,228円
4,500万円990,000円808,480円144回目4,151円

借入額が大きいほど定率型の手数料は増えますが、金利差で減る利息も同じように大きくなるため、払い切った場合の差は借入額にほぼ比例して広がります。一方、逆転する時期は136回目から144回目と、借入額による違いは小さめです。この例では、11〜12年より前に完済や借り換えをする可能性が高いかどうかが、選び方の分かれ目になります。

金利差が0.2ポイントより小さい見積りや、定率型の率が違う見積りでは、逆転の時期は大きく変わります。数字の傾向だけを借りて、自分の見積りで計算し直してください。

手数料を借入れに含めると、手数料にも利息がかかる

Aの手数料77万円を現金で払わず、借入額に含めて3,577万円・0.8%・35年で借りた場合、毎月の返済額は97,674円で、手数料なしで3,500万円を借りた場合より2,102円増えます。35年間の返済総額は883,101円増え、そのうち113,101円は手数料分にかかる利息です。

手数料を借入れに含められるか、含めた場合に借入額の上限や金利の条件が変わるかは、金融機関によって異なります。手元資金を残す効果と、利息の増加を並べて判断する材料にしてください。

手数料を借入れに含めた場合の総返済額(0.8%・35年)
  1. 3,500万円(手数料は現金)4,014万円
  2. 3,577万円(手数料77万円を含める)4,102万円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
手数料を借入れに含めた場合の総返済額(0.8%・35年)
条件毎月の返済額総返済額利息の合計
3,500万円(手数料は現金)95,572円40,139,674円5,139,674円
3,577万円(手数料77万円を含める)97,674円41,022,775円5,252,775円

見積書で確認したい項目

  • 手数料の計算方法(借入額×率か一定額か)、消費税を含むか
  • 支払時期(契約時、融資実行時など)と支払方法
  • 金利の種類と、金利の引下げを受ける条件
  • 保証料が別にかかるか、金利に含まれているか(保証料の比較)
  • 繰上返済や借り換えで早く完済した場合、手数料が戻る仕組みがあるか

戻る仕組みや優遇の有無は契約によって異なります。想定で差し引かず、書面で確認できたものだけを計算に入れます。

自分の見積りで比べる手順

まず金利上昇シミュレーションに借入額・返済期間を入れ、Aの金利を「現在の金利」、Bの金利を「比べたい金利」として総額の差を出します。そこから手数料の差を差し引けば、払い切った場合の差が分かります。借入額ごとの返済額の目安は3,500万円の返済表でも確認できます。途中で精算する場合の考え方は借り換え比較の手順も参考にしてください。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。