この記事のポイント
- 残高2,600万円・残り28年で変動0.9%を固定2.2%に切り替えると、毎月16,146円増えます。
- この例で総額がほぼ並ぶのは、変動金利が2年ごとに0.3〜0.35ポイント上がり続ける場合です。
- 残り期間が短いほど、切り替えで総額を抑えるにはより速い金利上昇が必要になります。
- 借り換えで固定金利にする場合は、手数料などの諸費用を加えて比べます。
切り替えの判断は「どれだけ上がれば元が取れるか」で比べる
変動金利から固定金利へ切り替えると、多くの場合、毎月の返済額はその時点で増えます。比べるべきなのは、その増加分と引き換えに、変動金利が将来どれだけ上がった場合の負担を避けられるかです。
計算例(残高2,600万円・残り28年)で、変動金利0.9%を固定金利2.2%に切り替えると、毎月の返済額は87,569円から103,715円へ16,146円、年間では193,752円増えます。総額で比べると、変動金利が2年ごとに0.3ポイント前後ずつ上がり続ける(上限4%)場合に、ほぼ同じになります。金利は説明用の仮の数字で、実際の金利や予測ではありません。
切り替えの方法は2通りある
変動金利から固定金利に移る方法は、大きく分けて2つあります。
- 今の契約のまま金利タイプを変更する:例えば三菱UFJ銀行は、固定金利への金利タイプの変更をインターネットにて手数料無料で手続きできると案内しています(同行の場合)。
- 別の金融機関などで借り換える:新しい借入れで今のローンを完済する方法で、手数料などの諸費用がかかります。
三菱UFJ銀行の解説によると、通期優遇型で借りている場合、変動金利から固定金利へ変更しても優遇幅は変わらず、変更時点の固定金利の基準金利から優遇幅を差し引いた金利が適用されます。今の契約で切り替えたときの金利は「固定金利の基準金利-自分の優遇幅」で見積もれるということです。手続きや手数料、選べる固定期間は金融機関によって異なるため、借入先に確認してください。
計算例:変動金利の上がり方別の総額差
残高2,600万円・残り28年(336回)で、変動金利0.9%を続ける場合と、固定金利2.2%に切り替えて残り期間ずっと続く場合を比べます。変動金利は2年ごとに一定幅で上がり、4%で止まると仮定しました。
| 変動金利の上昇幅(2年ごと) | 最大の毎月返済額 | 変動を続けた総額 | 固定との差 |
|---|---|---|---|
| 据え置き | 87,569円 | 29,422,943円 | -5,424,852円 |
| 0.1ポイント | 95,627円 | 31,142,517円 | -3,705,278円 |
| 0.25ポイント | 108,576円 | 33,884,793円 | -963,002円 |
| 0.3ポイント | 111,730円 | 34,762,179円 | -85,616円 |
| 0.5ポイント | 117,982円 | 37,143,499円 | +2,295,704円 |
| 1ポイント | 122,595円 | 39,464,352円 | +4,616,557円 |
この例の分かれ目は、2年ごとに0.3ポイントと0.35ポイント(固定との差+672,484円)の間です。0.3ポイントずつの場合、変動金利は11年目に2.4%となって固定金利を上回り、23年目に上限の4%に達します。
- 固定2.2%
- 変動0.9%から2年ごとに+0.3
変動金利は0.9%から2年ごとに0.3ポイント上がり、4%で止まると仮定(本文の表で総額がほぼ並ぶ例)。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 固定2.2% | 変動0.9%から2年ごとに+0.3 | |
|---|---|---|
| 1年目 | 103,715円 | 87,569円 |
| 5年目 | 103,715円 | 94,057円 |
| 10年目 | 103,715円 | 99,795円 |
| 15年目 | 103,715円 | 106,753円 |
| 20年目 | 103,715円 | 110,133円 |
| 25年目 | 103,715円 | 111,730円 |
| 総返済額 | 34,847,795円 | 34,762,179円 |
毎月の差額を「保険料」として読む
切り替えで増える毎月16,146円は、金利上昇に備える保険料のように考えることができます。変動金利が上がらなければ、この差額を払い続けたぶん総額は多くなり、上の表では据え置きの場合に5,424,852円の差になります。反対に変動金利が大きく上がれば、切り替えたことで負担の増加を避けられます。
どちらが良いかは将来の金利次第で、事前には決められません。考えたいのは、「年間約19万円の増加を払えるか」「変動金利のまま上がった場合、最大の返済額(2年ごとに0.5ポイントなら117,982円)を払い続けられるか」という家計側の問いです。後者が難しいなら、切り替えは負担の上限を決める手段になります。
残り期間が短いと、分かれ目の上昇幅は大きくなる
同じ金利の組合せでも、残り期間と残高によって分かれ目は変わります。仮に残高1,400万円・残り15年(180回)で、変動金利0.9%を固定金利2.2%に切り替える場合を計算すると、毎月の返済額は83,175円から91,387円へ8,212円増えます。
変動金利が2年ごとに0.25ポイント上がる(上限4%)シナリオでも、変動金利を続けたほうが総額で904,475円少なく、総額がほぼ並ぶのは2年ごとに0.6ポイント(差-96,777円)と0.7ポイント(差+81,516円)の間でした。残り28年の例では0.3ポイント前後だったので、残り期間が短いほど、切り替えで総額を抑えるにはより速い金利上昇が必要になります。返済終盤の切り替えは、総額よりも毎月の上限を決める意味合いが強くなると言えます。
切り替える前に確認したいこと
- 選べる固定期間:全期間固定か、10年などの固定期間選択型か。固定期間選択型なら、終了後はその時点の金利で選び直します(固定期間選択型の解説)。
- 切り替え後の優遇幅:通期優遇型なら同じ優遇幅が続くか、書面で確認します。
- 手数料:金利タイプの変更に手数料がかかるかどうかは金融機関によって違います。
- 固定期間中に変動へ戻せるか、戻すときの条件
- 繰上返済の手数料や条件が、金利タイプによって変わるか
全国銀行協会の解説にあるとおり、固定金利期間中は返済額が変わらず、未払利息のリスクもありません。一方で、その間に金利が下がっても恩恵は受けられません。この非対称を理解したうえで判断することが大切です。
借り換えで固定にする場合は諸費用を入れて比べる
別の金融機関への借り換えで固定金利にする場合は、手数料や登記などの諸費用を加えて比べます。本サイトの借り換えシミュレーションで、現在の金利0.9%・借り換え後の金利2.2%・諸費用0円とすると、変動金利が上がらない前提での総額差は5,424,852円です(上の表の据え置きと同じ)。諸費用を入れると、その分だけ差が広がります。
借り換えシミュレーションは借り換え前の金利を一定として計算するため、変動金利が上がる場合の比較は、上の表のように変動金利と固定金利の比較で行い、そこに諸費用を足して判断します。諸費用の整理は借り換え諸費用の整理、借り換えで固定にする場合の詳しい比べ方は変動から固定への借り換えを参照してください。
変動金利が0.9%のまま上がらない前提、諸費用0円の比較です。諸費用を入れると差はその分広がります。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 毎月の返済額 | 支払総額 | |
|---|---|---|
| 変動0.9%のまま | 87,569円 | 29,422,943円 |
| 固定2.2%に切り替え | 103,715円 | 34,847,795円 |
自分の残高で切り替えの分かれ目を探す
変動金利と固定金利の比較シミュレーションに、借入額の欄へ現在のローン残高、返済期間に残りの期間、固定金利に切り替え後の金利、変動金利(当初)に現在の適用金利を入れます。上昇幅と間隔を変えて「固定との差」がほぼ0になる組合せを探すと、自分のケースの分かれ目が分かります。
計算はすべて仮定に基づくもので、特定の金利タイプへの切り替えを勧めるものではありません。実際の切り替え後の金利と手続きは、借入先の金融機関に確認してください。
参照した情報
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。